遺言で預貯金債権の相続人を指定

  1. 書き方例

    第〇条 私は、私名義の次の預貯金債権を、妻 甲(大正 〇年 〇月 〇生)に相続させる。
    〇〇銀行
    〇〇支店 
    普通預金
    口座番号 〇〇〇〇〇〇〇 

  2. 解説

    平成28年12月の判例変更で、預貯金債権も遺産分割の対象となりました。
    被相続人が保有していた金融機関の預貯金口座について、上記例の遺言書があれば単独で、
    無ければ遺産分割協議書など相続人全員が協力し、相続手続きの一環として口座の名義変更か解約が行われます。
    注意が必要なのが、改正民法 第909条の2(遺産の分割前における預貯金債権の行使)
    「各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額の三分の一に
    第900条及び第901条の規定により算定した当該共同相続人の相続分を乗じた額
    (標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案して預貯金債権の債務者ごとに法務省令で定める額を限度とする。)については、
    単独でその権利を行使することができる。
    この場合において、当該権利の行使をした預貯金債権については、当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす。」とあります。  
    法務省令は、「民法第九百九条の二に規定する法務省令で定める額を定める省令」で、債務者(銀行など)ごと150万円と決まりました。
     即ち、上記例である預貯金債権を100%妻へ相続させる遺言をしていても、
    例えば子供がいる場合などは、上記例遺言の遺言執行する前であれば、
    最大 「1/3×1/2×預貯金債権」か「150万円」までなら単独で払戻しの請求することが法的に可能となります。実務上銀行が応じるか否かは不明です。