受託者に関することのQ&A

受託者は、信託行為の定めに従って、信託財産に属する財産の管理又は処分及びその他の信託の目的を達成するために 必要な行為をしなければならない者です。

[質問]受託者は辞任できますか?

[回答]基本は、受託者は、委託者及び受益者の同意を得て、辞任することができます。他の方法は、信託行為で定める等他あります。

[質問]受託者は解任できますか?

[回答]基本は、委託者及び受益者の同意を得て、受託者を解任できます。他の方法は、信託行為で定める等他あります。

[質問]受託者は法人がなれますか?

[回答]受託者は、信託財産の主体者となりえる自然人または法人がなることができます。 但し、信託報酬を得て不特定多数の方の財産を反復継続して受託する可能性のある株式会社・有限会社は信託業法にふれる可能性があります。 一般的に、NPO(特定非営利活動法人)や社会福祉法人、公益社団法人、公益財団法人、一般社団法人、一般財団法人、学校法人、医療法人、宗教法人等は、 営利を目的としない法人であるため問題が生じないとも言われています。

[質問]信頼できる受託者の候補はいるが、財産管理能力が高くない場合は別の候補者を探した方が良いですか?

[回答]信託事務処理代行者を指定したり、あるいは信託監督人や受益者代理人を置く手段もあります。

[質問]信託法で受託者不適格者は定められていますか?

[回答]はい、自然人については、未成年者、成年被後見人又は被保佐人となります。(7条) また、信託管理人、信託監督人及び受益者代理人は、受託者を兼ねることはできません。(124条,137条、144条)

[質問]破産者は受託者になれますか?

[回答]はい、特に問題ありません。仮に、財産管理方法に問題がある場合は、受益者や委託者はいつでも受託者を解任することができます。

[質問]信頼できる受託者の候補はいるが、当人が面倒なのでやりたくないと言っているが何か手段はないですか?

[回答]信託事務処理代行者を指定して、信託事務の代行を依頼することができます。(28条)信託事務の代行は、専門家でもなることができます。 また、信託行為(設定時)で信託事務処理代行者を示したときなどは、受託者の代行者を監督しなければならない法的な義務も軽減することができます。(35条)

[質問]受益者が受託者になることができるのですか?

[回答]受託者と受益者を兼ねることは可能です。しかし、受益者は2名以上にしてく必要があります。 1名の受益者が受託者である状態が1年間続くと、信託は法定終了します。(163条2号) また、複数の受益者を指定する場合、信託行為で給付の差別を定めなかった場合、それぞれの受益者は公平に扱う必要があります。(33条)

[質問]受益者の任意後見人は受託者になることができるのですか?

[回答]任意後見契約の代理権の範囲で判断する必要があります。 利益相反の関係が生じるような事務は、任意後見監督人に代理してもらうなどの対策が必要です。

[質問]受託者の過失により信託財産に損害が生じた場合どうなりますか?

[回答]受託者がその任務を怠ったことによって損害が発生した場合、受益者が受託者に損失てん補することを要求することができます(40条)。

[質問]受託者が法令若しくは信託行為の定めに違反する行為をしている場合どうしたらいいでしょうか?

[回答]受益者は、受託者に対し、その行為の差し止め請求をすることができます。(44条)。

[質問]受託者が亡くなった場合、相続人が受託者になる必要があるのでしょうか?

[回答]相続人が信託行為に定めない限り、受託者になることはありません。 ただし、知れている受益者に対する通知義務や信託事務の引継ぎ義務等他があります(60条)。